一生の担任エッセイ
Vol.03

夢が広がるということ

「試験に出ない問題なんて、やる意味がない。必要ない。だからやらない。」
「あなたに用意した問題をやらないのなら、ここに来る必要はないのではありませんか。」

思いがうまく伝わらなくて、生徒と心の行き違いが起きた時。
譲歩してはいけない場面で、踏ん張った時。
指導者は自分を振り返り、眠れない夜を過ごすことがあります。

そんな夜に思い出の写真を見返していたら、こんな写真が出てきました。
定期テストをみんなで頑張った日「打ち上げ」と称してシャボン玉やったんだよね。
みんな、背が今よりうんと小さい。
今はもうみんな中学3年生。自分の進むべき道に向かって、歩みはじめたね。

「脱学歴社会」と言われて久しいね。先生もそんな気がします。
人は人と生きていくのだから、思いやりがない人間はやはり大切なものを失うよね。

加えて、計算は計算ソフトがしてくれる。
知りたいことは、スマホが全部教えてくれる。
だけど、勉強に意味がなんてことは、絶対にない。

小中の内容は、生きていく上で必要な知識。
数学ができなければ、数学を使わなくていい仕事にしかつけない。
英語ができなければ、英語を使う仕事につけない。
つまり、知識を身につけると将来選べる進路が多くなるんだ。

現実的な話をしてしまえば、生涯年収だって変わってくる。
できることや選べることがたくさん増えると言うことは、つまり夢が広がるってこと。
学歴は、最後には「どうでもよくなる」だけで「関係ない」ことは決してはないのです。

大人はこの先にどんな未来があるか知っているから、勉強しなさいと言うんだ。
大切なあなたたちに、苦労させたくないって思いもあるかもね。
だけど私は、少しの負荷をかけて学習させたいと思います。
自分で自分の未来を切り拓ける、心の強い人になって欲しいもの。

そして、自分も人も幸せにできる人に。
それが先生の心からの願いです。

頑張る横顔を、いつまでも見つめています。
だから今日も、一緒に頑張りましょう。

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